【基礎工】
 

地盤面から約3.15m掘下げ、米松丸太末口22cm、長さ18mのものを75cm間隔で、千鳥に総計2,226本を打工。
その上に鉄筋コンクリート造筏式「スラブ」を施工。

柱およびはり材は鉄骨材を主、鉄筋コンクリートは従とした。
壁体と床版は鉄筋コンクリート造とした。
要所壁体内には鉄骨ブレーシングを構成して耐震、耐火構造とした

 
【外部仕上げ】
  周囲腰は山東産龍王みかげ石三偏小叩仕上げと同石擬石を使用。
主入口部は2.10cm高さに積上げ、上部はスクラッチタイル張り。
彫刻物及びマグサ、窓台一部には敷島石を使用。
 
【内部仕上げ】
  ●大広間
  床: 褐色磁器タイル張り
巾木: 貴蛇紋大理石
壁: ブラスター仕上げ、近世式装飾
天井: ブラスター仕上げ、近世式装飾、中央部採光用天窓二箇所を設置。
 
 
  ●一・ 二等待合室
  床: 褐色磁器タイル張り
巾木: 貴蛇紋大理石
腰: 高さ2.10cm、カナリヤ石入本磨き富国石張り
壁: ブラスター仕上げ
天井: ブラスター仕上げ
 
  ●三等待合室
  床: 茶色磁器タイル張り
巾木: 富士霞大理石
腰: 高さ2.10m、薄茶褐色タイル張り
壁: ブラスター仕上げ、装飾を施す。
天井: ブラスター仕上げ、装飾を施す。
 
  ●食堂
  床: 楢材フローリング・ブロック張り
巾木: 寒水石入本磨き富国石
腰: 高さ2.10m、緑色タイル張り
タイル目地は金色ペイント塗り
壁: ブラスター仕上げ、装飾、
アイボリー・ホワイト色水性ペイント塗り
天井: ブラスター仕上げ、装飾、
アイボリー・ホワイト色水性ペイント塗り
採光用天窓ステンドグラス嵌め込み(3ヶ所)
 
  ●手荷物扱ひ室
  大広間に準じる
 
  ●出札室
  床: 楢材フローリング・ブロック張り
腰: 一部ペイント塗仕上げ
壁: ブラスター仕上げ
天井: ブラスター仕上げ
出札口: 通話用マイクロフォンを設置
 
  ●応接室
  床: 楢材フローリング・ブロック張り、表面ワニス塗り仕上げ
腰: 高さ3.20mに楢材で腰羽目としオイルスティン塗り
窓: 緞子カーテンを取り付ける
 
  ●廊下
  床: クリンカタイル張り
巾木: 鴨更紗
腰: 高さ2.40m人造石磨き出し仕上げ
備考: 大理石造水飲所を設置
 
  ●会議室その他
  床: リノリューム敷き
巾木: 人造石磨き出し
腰: ペイント塗り
壁: ブラスター仕上げ
天井: ブラスター仕上げ
 
  ●二階廊下
  床: 人造石磨き出し
巾木: 人造石磨き出し
腰: ペイント塗り仕上げ
 
  ●予備室
  床: リノリューム敷き
 
  ●女子及び男子休憩室
  壁: ブラスター仕上げ

天井:

ブラスター仕上げ
備考: 畳敷き
 
  ●出入り口扉
  外部扉: 総て鋼鉄製ペイント塗り仕上げ
内部扉: 塩地又は米松材製ワニス又はペイント塗り仕上げ
大広間正面主入口折畳式扉: 米国リチャードウィルコックス社製ドアーハンガーを採用
 
  ●窓
  外部窓: 全部鋼鉄製、主に両開き上部回転
内部窓: 塩地又は米松材、ペイント又はワニス塗り仕上げ
 
  ●屋根
  総て陸屋根とし、床版の上に、シンダーコンクリート打ちの上、防水層を施し、防水モルタル塗りの後天然スレイトを網代型に張り詰めたもの。
 
【衛生設備】
  ●公衆用便所
  総て自動水洗式
汚水は浄化槽へ後半馬力電気自動揚水ポンプ2台によって
公共下水に放流する。
 
●職員用大便所
  自動水洗式装置、フラッシュバルブ設置
汚水は浄化槽へ後半馬力電気自動揚水ポンプ2台によって
公共下水に放流する。
 
【暖房設備】
  真空式蒸気暖房装置、汽関室にはセクショナル型ダウンドラフトボイラー及び喞筒を設備する。
各室には所要放熱器を設置し、汽関室より発生する蒸気は蒸気管を経て各放熱器に送気し、外気温度30度(F)のとき室内温度65度(F)以上に保持できる。放熱器より生じた凝結水は還水管に導き、真空及び給水喞筒により汽関にもどる仕組みである。
 
【給湯設備】
  地下汽関室に設置する温水加熱器より温水を給湯主管を経て、各洗面器、手洗器などに配水する。
 
【瓦斯及び給水設備】
  瓦斯及び水共に市より供給を受ける。
瓦斯は湯沸室、調理室等の燃料
水は便所、洗面所、湯沸室、消化栓等に配水される。
 
【電灯設備】
  配線は床スラブ内に埋設
各階に開閉器を設け電灯総数384個
本屋総電力45kw
 
【電話設備】
  地下より電話ケーブル20條を二階配電盤室交換室に入れ、本屋関係及び外一般諸方面に配線。
本屋一階、二階にはターミナル盤を6個設け、それより本屋各室デスク下に配線した。
 
【排水】
    屋根各雨水流入口には鋳鉄製ジョーサムダブル・ドレネージ・ルーフドレインを取付け、雨水は場所により屋内又は屋外に鋳鉄管で外部溜枡に送り、汚水と合せた後に市設下水に接続流入した。
 
【消火栓】
  市水道局考案の消火栓を一階2ヶ所、二階1ヶ所、外部二ヶ所、計五ヶ所に設置。
 
【避雷針】
  突針は銅製四本建て、各頂部には純金一匁づつ焼付けし、煙突共五ヶ所に設置。
 
【電気時計】
  主としてドイツのシーメンス会社製のものを用いた。
親時計は二階交換室に設置、大時計1個、小時計36個を設置。